※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。
アイスクリームのパッケージを見ても、牛乳やヨーグルトのような「賞味期限」が見当たらない、と気づいたことはありませんか。冷凍庫の奥から出てきたアイスを前に、「これ、まだ食べられるのかな」と迷った経験がある方もいるかもしれません。
この記事では、農林水産省の「消費者の部屋」、東京都保健医療局の「食品安全FAQ」、そして食品表示基準などの国の情報をもとに、アイスクリームに賞味期限がない2つの理由と、家の冷凍庫で保存するときの注意点をやさしく解説します。
アイスクリームに賞味期限は書かなくてもよい
食品表示基準で省略が認められている
農林水産省の「消費者の部屋」では、アイスクリーム類は、食品表示基準第3条第3項により期限表示の省略が認められていると説明されています。
ふつう、加工食品には「消費期限」か「賞味期限」のどちらかを表示することになっています。でも、アイスクリーム類のように一部の食品は、この表示を省略してよいとされているのです。
賞味期限を省略できる食品
東京都保健医療局の「食品安全FAQ」では、賞味期限の表示を省略できる食品として、次のものが挙げられています。
| 番号 | 食品 |
|---|---|
| 1 | でん粉 |
| 2 | チューインガム |
| 3 | 冷菓 |
| 4 | 砂糖 |
| 5 | アイスクリーム類 |
| 6 | 食塩及びうま味調味料 |
| 7 | 酒類 |
| 8 | 飲料水及び清涼飲料水(ガラス瓶入りのもの(紙栓をつけたものを除く)又はポリエチレン製容器入りのものに限る) |
| 9 | 氷 |
同じFAQでは、これらの食品は基本的に品質の変化が極めて少ないため、賞味期限表示の省略が認められていると説明されています。アイスクリームのほかにも、砂糖や塩、氷なども仲間なのですね。
砂糖や塩は、湿気を避けて保存していれば長く使える調味料として身近ですね。アイスクリーム類は、それらと同じく「品質の変化が極めて少ない」食品として扱われているわけです。ただし、アイスクリーム類の場合は、冷凍で保存されていることが前提になっている点が、砂糖や塩とは違うところです。次の章で、その理由を詳しく見ていきましょう。
そもそも賞味期限と消費期限の違いは?
消費者庁の食品ロス削減の啓発サイト「めざせ!食品ロス・ゼロ」では、期限表示には「消費期限」と「賞味期限」の2種類があると紹介されています。
| 期限表示 | 意味 |
|---|---|
| 消費期限 | 食べても安全な期限。過ぎたら食べないほうがよい |
| 賞味期限 | おいしく食べることができる期限。過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない |
どちらの期限も、未開封で、表示されている保存方法を守って保存した場合の期限とされています。開封したあとは、期限に関係なく早めに食べることが呼びかけられています。
アイスクリームの場合は、このどちらの表示も省略が認められている、ということになります。ただし、未開封であることや、表示されている保存方法を守ることが大切なのは、ほかの食品と同じですね。
賞味期限が省略できる2つの理由
農林水産省の「消費者の部屋」の説明をもとに、アイスクリームに賞味期限を書かなくてもよい理由を2つに分けて紹介します。
1. 冷凍で保存され、品質の劣化が少ない
農林水産省の「消費者の部屋」では、アイスクリーム類は冷凍で保存されるので、温度管理がされていれば、保存中の品質の劣化が少ないと考えられる、と説明されています。
ポイントは「温度管理がされていれば」という部分です。しっかり凍った状態が保たれていることが前提になっているのですね。溶けたり凍ったりを繰り返すと、この前提が崩れてしまいます。
2. 乳等省令で品質基準や製造方法が厳しく決められている
同じページでは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で、品質基準や製造方法が厳しく規定されていて、長期間品質が劣化しないことも理由として挙げられています。なお、e-Govの法令検索では、この法令は現在「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」という名前で掲載されています。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 1. 冷凍保存 | 温度管理がされていれば、保存中の品質の劣化が少ないと考えられる |
| 2. 乳等省令の基準 | 品質基準や製造方法が厳しく規定されていて、長期間品質が劣化しない |
乳等省令はいつからある?
厚生労働省の法令等データベースでは、この命令は「昭和26年12月27日厚生省令第52号」として掲載されています。70年以上前に作られた決まりが、改正を重ねながら、いまも牛乳や乳製品、アイスクリーム類の品質を支えているのですね。
この2つの理由をふまえて、食品表示基準で期限表示の省略が認められている、という流れです。
つまり、「アイスはいつまでも大丈夫」ということではなく、「きちんと作られ、きちんと冷凍されていれば、品質が変わりにくい」ということです。お店や工場では温度管理がされていても、家に持ち帰ったあとは、自分で温度を守る必要があります。
アイスクリーム類の種類
乳固形分などで3つに分かれる
乳等省令(現在の「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」)では、アイスクリーム類は、含まれる乳固形分や乳脂肪分の量などによって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分けられています。
| 種類 | 乳固形分 | うち乳脂肪分 |
|---|---|---|
| アイスクリーム | 15.0%以上 | 8.0%以上 |
| アイスミルク | 10.0%以上 | 3.0%以上 |
| ラクトアイス | 3.0%以上 | 規定なし |
同じ命令では、細菌数や大腸菌群についての基準も、種類ごとに決められています。たとえば、アイスクリームは細菌数が1gあたり10万以下、アイスミルクとラクトアイスは1gあたり5万以下で、どれも大腸菌群は陰性とされています。こうした細かな基準があることが、2つめの理由につながっているのですね。
パッケージの「種類別」の欄を見ると、そのアイスがどれにあたるのかがわかります。
氷菓は「冷菓」
シャーベット状のアイスなどの中には、アイスクリーム類ではなく「氷菓」として売られているものがあります。パッケージの「種類別」の欄で確かめてみましょう。東京都保健医療局のFAQで挙げられている「冷菓」も、賞味期限の表示を省略できる食品のひとつです。
家の冷凍庫で保存するときの注意点
開け閉めによる温度の変化に注意
農林水産省の「消費者の部屋」では、家庭の冷凍庫で保存していても、開け閉めによる温度変化によって味が変わることもあるので、なるべく早めに食べましょう、と呼びかけられています。
賞味期限が書かれていないからといって、いつまでも同じおいしさが続くわけではない、ということですね。冷凍庫の扉のポケット部分は開け閉めのたびに外の空気に触れやすいので、アイスは奥のほうにしまうなど、置き場所を工夫してみるのもよいでしょう。
パッケージの保存方法を守る
東京都保健医療局の「食品安全FAQ」では、賞味期限の表示を省略できる食品について、未開封の状態で、かつパッケージなどに書かれている保存方法を守った場合には、基本的に安全に食べることができる、と説明されています。ただし、高温や湿気に弱いものもあるので、保存方法には気を配るよう呼びかけられています。
家でできる工夫
国の情報をふまえて、家でできる工夫をまとめると、次のようになります。
| 工夫 | ポイント |
|---|---|
| 買ったらすぐ冷凍庫へ | 持ち帰るあいだに溶けないよう、寄り道せずに帰る |
| 開け閉めを少なく | 冷凍庫の扉の開け閉めによる温度変化を減らす |
| 早めに食べる | 家庭の冷凍庫では味が変わることもある |
| 溶けたら再冷凍しない | 一度溶けたものは、元の品質とは違ってしまう |
| 買った日をメモ | 期限表示がない分、自分で管理すると安心 |
一度溶けたアイスは?
一度溶けてしまったアイスを再び凍らせると、食感や風味が変わってしまいます。また、温度管理がされていることが、期限表示を省略できる理由のひとつでした。溶けてしまったアイスは、その前提から外れてしまうことを覚えておきましょう。
食べる前にチェックしたいこと
期限表示がないアイスを食べる前には、次のような点をチェックしてみましょう。
- 一度溶けて固まったような形になっていないか
- 表面に霜がたくさんついていないか
- においや見た目にいつもと違うところはないか
- 容器が破れたり、ふたが開いたりしていないか
ひとつでも気になるところがあれば、無理に食べないようにしましょう。期限表示がない分、自分の目で確かめることが大切です。
アイスクリームの保存でよくある質問
去年買ったアイスは食べられる?
賞味期限が書かれていないので、いつまでと決まった目安はありません。農林水産省は、家庭の冷凍庫では温度変化で味が変わることもあるので、なるべく早めに食べるよう呼びかけています。においや見た目に違和感がある場合は、無理に食べないようにしましょう。
製造年月日は書かれている?
アイスクリームのパッケージには、ロット番号などが印字されていることがあります。ただし、その意味はメーカーによって違うので、気になる場合はメーカーのお客さま窓口に問い合わせてみてください。
かき氷やシャーベットも同じ?
東京都保健医療局のFAQでは、冷菓も賞味期限の表示を省略できる食品として挙げられています。冷凍で保存するという点では同じなので、家の冷凍庫では早めに食べるのがおすすめです。
冷凍庫に霜がついたアイスは?
霜がついているのは、冷凍庫の中で温度の変化があったサインかもしれません。農林水産省が説明しているように、温度変化によって味が変わることもあるので、早めに食べるか、気になる場合は無理に食べないようにしましょう。
大容量のアイスや、まとめ買いしたアイスは?
大容量のアイスやまとめ買いしたアイスは、食べ終わるまでに時間がかかり、そのあいだに何度も冷凍庫を開け閉めすることになります。農林水産省が呼びかけているように、家庭の冷凍庫では温度変化で味が変わることもあるので、食べきれる量を考えて買うのがおすすめです。大容量のものは、開封後はふたをしっかり閉めて保存しましょう。
アイスクリームに賞味期限がないのは品質が変わりにくいから
アイスクリームに賞味期限がない理由と、保存の注意点をもう一度まとめておきます。
- アイスクリーム類は、食品表示基準第3条第3項で期限表示の省略が認められている
- 理由1:冷凍で保存され、温度管理がされていれば品質の劣化が少ないと考えられる
- 理由2:乳等省令で品質基準や製造方法が厳しく規定され、長期間品質が劣化しない
- 家庭の冷凍庫では、開け閉めによる温度変化で味が変わることもあるので早めに食べる
- 保存方法を守ることが大切。一度溶けたものは品質が変わってしまう
賞味期限がないことの理由を知っておくと、アイスをおいしく食べるための保存のコツも見えてきます。冷凍庫の中のアイスは、おいしいうちに楽しんでくださいね。